大阪公立大学 南部陽一郎物理学研究所

Nambu Yoichiro Institute of Theoretical and Experimental Physics (NITEP), Osaka Metropolitan University

所長挨拶

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2008年にノーベル物理学賞を受賞された南部陽一郎博士が1950年代前半専任教授として教鞭をとられ、研究活動を進められた国内唯一の大学である大阪市立大学は、2022年4月1日より大阪府立大学と統合・合併し、大阪公立大学として再出発しました。

博士の名前を冠する南部陽一郎物理学研究所(NITEP)が2018年11月1日に創設されてから、早いもので4年半余りの年月が流れました。この間、3年余りにもわたるCOVID-19による苦難の時期を経ながらも、南部博士が残した自由な発想と独創性を重んじる研究をさらに醸成すべく、国際的な研究拠点の形成を目指してきました。大学院生の参加を含む独創的な学内の研究、既に知られている国際共同研究において、いくつもの特筆すべき成果を挙げることができました。ボーダレスな発想を特徴とする南部博士の数々の研究を範として、分野横断的なものを含む多くの(国際)研究集会を開催してきました。宇宙線、素粒子実験、可積分系の数理科学、東アジア場の量子論・弦理論のコミュニティーに於いて毎年或いは隔年で実施される研究集会の杉本キャンパスでの開催を実現し、共催にも協力してきました。

2021年1月には、南部生誕100年という大きな記念イベントを2か月にわたり大阪市立科学館と協力して実施し、博学連携を実現しました。理論・実験両面に渡る素粒子、原子核‐量子多体問題、重力波-素粒子の研究集会、「渦と磁場」を強調する宇宙・流体物理学の研究会、いくつかの異なる側面から探索する場の量子論研究会を、定期的に持てるようになりました。中断していた梅田の文化交流センターでの特別講義シリーズも復活し、今後さらに活発にしていきたいと思っています。これらに関する今日に至るまでの詳しい内容に関しては、本研究所ホームページをご覧下さい。

NITEP創設以前から力を入れてきた市民のための講演会はすっかり定着し、高校生から定年退職者に至るまで、様々な世代の方々が毎年楽しみにされる恒例のイベントとなっています。2019年度までの研究成果およびこれらの活動は、年次報告annual reportとしてまとめられています。少し滞ってしまいましたが、前年度までの活動をまとめたannual reportを近々作成予定です。今後も独創的な研究成果をさらに産出し続けつつ、東アジアに於ける国際研究協力拠点の一つとなるべく、研究協定等を通じて更なる発展に努めていく所存です。所外の皆様とも協力し、共に歩んでいきたいと思いますので、お気軽にご意見をお寄せください。

2023年5月  糸山 浩司